夢日記

中学の合唱祭でピアノ伴奏役を買って出たが本番で失敗し自棄になって壊してしまったグランドピアノがタワマン最上階の天守閣にまだあるよって同窓会のときに教えてもらったからみなで見に行くとたしかに当時のままこわれたピアノがあった。永くそこに棲んでいるという金髪セーラー服の美少女がとなりのワンルームからT-fal片手に現れて、直してやるから代わりにひとつ演奏してみせよという。たちまち元通りになったピアノは弾くとパンパンといい音がした。わたしはピアノの前に立つと、頭の中のボヘミアン・ラプソディをなぞりながら弾き始めた。

短歌の目8月 投稿します

夏のあいだじゅう材料を集めたつもりだったのに、組み立てる頃には秋になってしまった現象。毎月ギリギリの投稿です。今月もよろしくご覧ください。

 

 

 

 

1. 流
この夏のどこかに流れるはずだった水はしぼんだヨーヨーのなか

 

2. 囃
三十五度八分の體温計のアラーム 祭囃子の笛の甲音

 

3. フラット
明石よりみっつフラット 農協の時計は軽油を喰っておごそか


4. 西瓜
夏の子らすぐかわくのであたらしいあたしらしい西瓜ほしいか


5. こめかみ
氷ばかり噛みくだくきみのこめかみに浮いた花びらしまっておいて

 

テーマ詠「怪談短歌」

まだなにも知らない街にも祭りがあり誰かがおどる盆踊りがある

 

今はまだ遠巻きにして見る阿呆 身体揺らして息子の無邪気

 

この街のこの輪の中に入れたらすこしは好きになれるだろうか

 

気がつけば輪の中にいる息子 その踊りはなんだ おまえはだれだ

短歌の目7月 投稿します

締切の月末前に週末があるのはとってもありがたいことだと思います。

今月もよろしくご覧ください。

 

 

1. 透
脱ぎたてのサランラップを想うもう透明じゃないとうめいである

 

2. ホイップ
丸腰で行ってはならぬ肉の海、油の平野、ホイップの丘

 

3. 果
しべのないカサブランカを聞くことの結果としての夏の葬列

 

4. ペンギン
海の日の空 ペンギンの描かれたシートは砂を蹴ってどこかへ

 

5. 短夜
短夜に牌をならべて言うことにゃ「親父は鳥を絞めて断ヤオ

 

テーマ詠「あつい」

気化熱をなかったことにして姉は夕立ちとなる土用の坂道

短歌の目6月 投稿します

遅刻だあ!

読んでいただけたらありがたいです!

今月もよろしくご覧ください!

 

 

 

 

1. クリーム
肋骨をあらうクリーム 凹凸に忠実であることがプライド

 

2. 溝
全力で眠ったあとのほっぺたに溝があるのも知らずに おやつ

 

3. 万緑
右は雨左は晴れをわけあってセンターラインは万緑のなか

 

4. 雨
善き薬を撒いてあります。(ろくじかんいないに雨がふりますように)

 

5. きみ
深爪のきみの指先もてあそぶ52円の切手が憎い

 

テーマ詠「衣服」
制服の布面積分 学校は軽くなったりするのだろうか

短歌の目5月 投稿します

今月もよろしくご覧ください!

 

 

1. 青葉

なにさまか青葉のごとき増えかたをしても冬には枯れるものたち


2. くつ
月光は幾多数多の屈折を経てぶらじるに届くものやも

 

3. カーネーション
朝やけの科学の子にも祝福を カーネーションの味のミルクを


4. 衣
春に着た十二単衣が脱げぬまま残業手当はリポDに消ゆ


5. 夕なぎ
夕なぎに結んだ籤は翻らずに夜を待つ よるがくる

 

テーマ詠「運動会」
天国と地獄 バトンを繋いだらこの世のヘマもこれで帳消し

短歌の目4月 投稿します

春の夜というのは短歌が捗るなと思いました。

今月も、よろしくご覧ください。

 

 

 

1. 皿

だしぬけにくしゃんと割れる皿に似た中華リッツをもてあそぶきみ

 

2. 幽霊
白日に晒す道理はないという朧月夜に幽霊をみた


3. 入
ここはまだ分煙家屋の入口できみがゆるせば浦島になる

 

4. うそ
うそをうそを形よく積み上げてもばれたときには静電気です

 

5. 時計
これは時計ワニなどが良い例で、彼らは時間に縛られている

 

 

テーマ詠「新」
ぶた肉は春の夜風に則って思い知らせる母の不在を

 

 

 

 

リッツの原産国は中国ではなく、インドネシアでした!

短歌の目3月 投稿します

忙しい年度末ですが短歌のことを考えていると現実逃避できます。

今月もよろしくご覧ください。

 

 

 


1. 草
みどりみどり ほうれん草を信じれば冬の訛りが巻きこんだ砂

 

2. あま
あまもりの傘は右眼に春雨をわずか降らせて開花宣言

 

3. ぼたん
家族四人、ひとつところに集まって四ツ穴ボタンを縫い留めている

 

4. 鳥
傷ついた鳥をつつんだペンギンのネイルアートの君の浅はか

 

5. 雷
雷はだれに呼ばれることもなくグラスにすこしの泡を残して

 

 

テーマ「捨」


前髪を眉毛で切り揃えるキャラを捨てる途中の君のいらだち

 

月曜はまた来るのだし缶もきみもそのままにして今日は眠ろう