はてな題詠「短歌の目」3月 作ったときのきもち

 初参加しました。

3月の題詠短歌10首 - 乳飲子を小脇に抱えて

 

こんなに短歌を詠んだのははじめてだったけど、いろいろ考えることができて楽しかったです。投稿する前もした後も、気付かないうちに三十一文字を指折る癖がついてしまいました。

創作しながら、結構いろんなことを感じたので、自分のためにも作品の由来をメモしておきます。

 

 

1.雛

子が立ちて後に残りし親おもう 七段飾りの雛のゆくえと

 去年の夏に妹が嫁に行って、実家には「子ども」と呼ばれるものがいなくなった。親は「子ども」が片付いて清々していたようだけど、これからのお雛様はいったい誰のために出すんだろう。今は孫のためかもしれないけど、ずっと先の未来、住む人がいなくなってしまったら、お雛様は、実家は…?と考えると、今更になってマリッジブルーのような気持ちになってしまいました。

 

2.苺

「わたしBerryz工房好きなんです」 給湯室でイチゴつまみつつ

わたしの住む地域は苺の旬がもう少しあと、新入社員が環境に馴染んできたころである。去年配属された新入社員はキレイな女の子で、雑談しながら何気なく好きな音楽は?なんて聞いたら、アイドルが趣味とのこと。ガチでアイドル趣味の女の子は初めてお目にかかったので、興味深かった。しかもAKBではなくハロプロで、モー娘。でもBerryz工房でもなくて、もっとわたしが知らないようなのだったんだけど、解散の時期もあったのでBerryz工房にしました。

 

3.夕

朝食べて 掃除洗濯 昼食べて 夕餉の支度 主婦の一日

合間に授乳と寝かしつけ。ヒマなようであっという間に終わってしまうのだ。

 

4.ひとり言

君たちがそばにいるから ひとり言言ってるようでそうじゃないのよ

赤ちゃん相手に語りかけなんてできるかよと思っていたのだけど、自然にできるようになっていた。その前からネコを飼っていたから、練習になっていたのでしょう。でもそれより前、ラブプラスというゲームをプレイしたことが、ひとり言のハードルを下げた最初の出来事だったと思う(DSに向かって「愛してるよ」とささやいたことある)。

 

5.揺らぎ

 如月はストーブ越しに揺らぎ見る 弥生にはいれば春の陽炎

春の陽炎は、田んぼの肥やしの上に現れる。春の訪れは、肥やしの匂いで感じるのだ。

 

6.羊

 義理の母 元気抜群到着す 美容にいいの、と羊羹片手に

 実際のお義母さんはそんなことしないし、羊羹が美容にいいという事実もきいたことありませんが。部首が羊の漢字は結構たくさんあった。

 

7.線

建前があるけど本音も見えてるでしょう 打消線の下にある文字

打ち消すくらいならいっそデリートすりゃいいのに、そんなふうに残すことにも意味があるんだろう。

 

8.バク

 ぼくの夢もし怖かったら誰が食めばいいの、とバクは思うのでした

バクの悪夢を別のバクが食べて、そのバクの悪夢をまた別のバクが食べて…生物濃縮。

 

9.年度末

毎日が日曜だから ねんどまつ?そんなんシラネ ただ帰宅待つ

夫には毎日早く帰ってきてほしい。

 

10.信号

昨日まで信号だった君の音 呼吸、脈動、声が聞こえる

 娘がお腹にいるという実感があんまりなくて、胎動でしか感じることができなかった。心音を聞いてもエコーを見ても、機械を通してしか触れることができなくて。出産して実物を前にして、やっと安心したときの気持ちを詠みました。

 

 

振り返ってみると、ほとんど日記と変わりないというか、メモでしかないというか。心象、風景、イメージ、綺麗な日本語、そういったものを詠みこんだ短歌を作れるようになりたい。

他の方の作品、読んでいてとってもおもしろかったです。