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オルガンの住人

2015年3月28日 晴れ 暖かいからドライブに行くが、海辺は風が強かった

実家には古いオルガンがあって、西日射す廊下に置かれていた。廊下の端は両親の寝室だったため日中は出入りがなく、小さかった頃はオルガンを弾くためだけにその廊下にやってきたりした。ある日の夕方、夕日のあたるオルガンの蓋を開けてみると、低い「ラ」の音におじいさんが住んでいた。おじいさんはどこかわたしの祖父に似ていて、低い「ラ」の音に相応しい、低くてやさしい声でぼそぼそ話しかけてきた(フガフガだったかも)。他の鍵盤を見やると、高い「シ」の音付近にはわたしよりも少し小さい女の子が住んでいて、高い「シ」の音に相応しい甲高い、けれども不快には感じない声でおじいさんに返事をしていた(なんとなく乾いた声だった)。わたしは二人の会話をぼーっと眺めながら、あ、これ夢だな、と感じ、気がついた時には「こういう夢を見た」という記憶だけが残っていた。その後何回か同じような夢を見たことによって、今日まで覚えていることができた。

今日、実家のお雛様を出したので見に行った。お雛様は毎年決まってこのオルガンの前に飾られる。だから夢のことを思い出してみた。