断舎利ストップ(副題:MDについて)

2015年4月3日 くもり 今の時点では肌寒い

今から10年以上前、まだ周囲にiPodが浸透していなかった時代に、わたしは一生懸命MDで音楽を聴いていた。高校を卒業して大学進学しひとり都会(?)に引っ越してきたころから、買ったCDも借りたCDもひたすらMDに録りためて、ポータブルMDプレイヤーを手放さなかった。

娘に子守唄を歌うのは、そんな時期に聴いていた曲が多い。今はとんと音楽を聴かなくなってしまったので、昔の記憶をひっぱり出し、うろ覚えの歌詞で、アコースティックバージョンでお送りしている。

先日ふと、この曲はいつ聴いてたんだっけと思い出してみた。そうすると記憶の扉が次々開いてしまって、MDに録った当時のことまで遡ることができて驚いている。ラベルにはMDの通し番号と収録曲の通し番号、アルバム名、アーティスト名を書き、別に用意したメモ帳(大きめの単語帳のようなものを自作した)には収録曲を書いた。MD自体に詳細を入力することもできたが、録音しながら書き写すのが好きだった。syrup16gは緑色のディスク、ACIDMANは黄色のディスクに録る、というこだわりがあった。アジカンの「ノーネーム」のあとにバンアパの「FOOL PROOF」が入っていて、その流れが好きだった。などなど。

思い出したら聴きたくなった。当時の曲順で聴きたくなった。iPodを購入した時にCDをiTunesにあらまし読みこませたからMDは用無しになったが、捨てはせず、たしか実家に置きっぱなしにしてきたはず。そこで母親に聞いてみると、「二階の押入れの下の段の青い箱に入ってるよ」と即答であり、果たしてそこに、MDはあった。どうせ聴かないだろうと捨てなかった当時の自分も、娘が置き去りにしたものを捨てないで保管してくれていた母親も、よくやってくれたという感じである。曲はどこからでも入手することができようが、当時の曲順だけは、再現できない。まさか今になってそこに気付くとは思わなかった。当時断舎利ブームを知っていたら、絶対捨ててたもんな、自分。捨てなくて本当に良かった。

さて、無事に見つかったMDを聴き直し、「当時の曲順」という名のプレイリストをiTunesに正しく作ることができたとき、そのときはMDを捨ててもいいかなと思っている(大した場所を取るわけでもないから、急いで捨てなくてもいいのだけども)。ただし、現在我が家にも実家にもMDを聴ける機器がなくなってしまい、これからどうしようかと、青い箱を抱えて思っているところでもある。