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インターホンが鳴った。

2015年4月8日 晴れ 今日も寒い

インターホンが鳴った。ガイコクの方が話しかけてくる。宗教に興味はないかと。わたしは料理の手を止めて、「ちょっと今忙しい」と言った。ガイコクの方は忙しいところ申し訳ないといった雰囲気を出しながら、いつなら話を聞いてくれるか、と食い下がった。「ちょっとよくわからない」とはぐらかすわたし。じゃあせめて名前だけでも教えてくださいお姉さん、なおも食い下がるガイコクの方。「いえ、いいです」とわたし。外国人に「いいです」と遠慮しても、イエスの意味でとられることがあるらしいね。この場合は正しいニュアンスで捉えてくれたようだった。またお話ししましょうお姉さん。わたしよりたくさんの日本語を流暢にしゃべって、ガイコクの方は去って行った。

インターホンが鳴った。くたびれたおじさんが話しかけてくる。新聞をとらないかと。わたしはとくになにもしていなかったが、「ちょっと今忙しい」と言った。くたびれたおじさんは、じゃあポストにチラシ入れていくんで見てください、と言って、隣の家に向かった。

インターホンが鳴った。上品なマダムが話しかけてくる。健康食品を試さないかと。わたしは今まさに泣き出した娘に乳を与えんとするところだったので、「ちょっと今忙しい」と言った。娘の泣き声はインターホンを通して、家の前まで響き渡っていることだろう。わたしの返答が終わらないうちに、そうでしょうねと言い捨てて、上品なマダムは道路に戻って行った。

インターホンが鳴った。新社会人を従えた営業マンが話しかけてくる。保険の営業ですと。わたしはおむつ交換のため尻丸出しの娘を見張りながら、「ちょっと今忙しい」と言った。営業マンは、そうですかすみませんとあっさり引き下がり、そこでわたしはインターホンから離れたので、その後どうなったかはちょっとよくわからない。