蟻を見るおんな

2015年5月12日 くもり 外ぬるい家さむい

今日も今日とて実家に遊びにゆく。娘を抱いて庭を眺めていると、地面を動き回る蟻を発見。ひとつ見つけるとここにもあそこにも、多数確認することができた。一匹を特定して凝視するが、他の蟻さんとごっつんこしたかと思えば草の陰に回り込んでみたりして、忙しそうな割になにも成果を挙げていないようだった。蟻の社会にも存在するというサボり属性の働き蟻だったのかもしれない。
そのようにして見飽きることなく見入っていると、父親がやってきて、その蟻消毒して退治しなくちゃならないと言った。こんな小さい蟻だもの花の蜜や虫の死骸を食べるのが精々でなにも悪さはしないだろうにと思ったが、父親が指さす庭の隅に目を向けると、蟻どもが掘った大きな穴とその側に積み上げられた土の塊を見つけて(というか巣穴近辺を出入りしているやつは手に手に土の粒を持っていて、今まさに増築中のようだった)、ああ…まあしょうがないかという気持ちになった。
思えば小さい頃から、足に這わせたり指や手のひらで潰したり水責めにしたり、わたしは蟻に対してあまり敬意を払ってこなかった。もしくは絵本みたいに角砂糖を喜ぶ蟻が見たくて、隙間だらけの虫かごに捕らえられるだけの蟻を放り込み、お砂糖入れて部屋に持ち込んだこともあった。当然蟻は家中に逃げ出し、母親はパニックになった。
さて、娘が少し大きくなった頃、そういう遊びをはじめたら、わたしどうしよう?パニックにならずに蟻を始末できるだろうか。けれど日なが一日蟻を眺めることの魅力に気付いてほしいとも思う。蟻は、楽しい。