春の海、というタイトルは正月くさい

2016年2月11日 晴れ 明日も晴れ

とりわけ春に関しては海の向こうからやってくる気がして、海を見に行く。

10月に異動する前は海の近くの支店に勤めていた。海からの強風が雪を吹き飛ばし、また海水は冬の気温より高いせいもあって、自宅から支店に近づくにつれて雪が少なくなっていくのがよろしかった(今は山のふもとの支店なもんだから、職場に近づくにつれて雪が多くなるのがよろしくない)。それに海の向こうの風はにっくき黄砂を運んでくる。それで海といえば春の始まりというイメージがある。

久しぶりの砂浜に雪のかけらは微塵もなく、ブーツで踏むのが申し訳ないくらい「ふつう」だった。娘と一緒に車を降りて海風に当たる。寒いけど寒くない、海が寒くないのなんてこのあたりじゃ真夏くらいのものだもの、これも「ふつう」。そして去年のことを思い出す、去年は娘に生まれて初めての海を見せたくて、毛布でぐるぐるに包んでこの春の海にやってきた、しかし去年の春の海は思ったよりも冬の海で、早々に引き上げたのだった……。それが今年はどうだ、娘は海を指さして嗚呼と言い、カメラを指さして嗚呼と言い、カメラを持って燥ぐおっさんを指さして無言だった。夕日に向かってカラスが飛び、カラスさんもおうちに帰るから我々も帰ろう、そのようにして海を後にしたのだった。

夕焼けの中に飛行機雲がひとつ、ふたつ、みっつ…と数えていけば、全部で5本あった。そのどれもが短い尾をひいて、明日の天気は晴れだといっている。帰宅前に寄ったスーパーの駐車場の電線に引っかかるように薄い三日月、そして電線という電線にとまったカラス。カラスさんのおうちは近所であったか。近所のスーパーの電線であったか。近くを電車が通ると大騒ぎして電線を離れ、静かになると戻ってくる。電車が一時間に一本しかない田舎でよかったな。スーパーでは春の新生活フェアをしていて、フライパンやら掃除機やら洗濯機やらが並び、新人さんみたいなバイトが教えられながらレジをしていた。会計が思ったよりも高かったのでレシートを見直せば特に間違いもなく、わたしが計算違いをしていただけだった。地元の和菓子屋さんのチョコレートを買って帰った。

 

思い出したので追記。


井上宗孝とシャープ・ファイブ 「春の海」

寝かしつけの傍らこの曲を見つけて、すごいかっこいいと思ったのだった、忘れないようにここに貼っておく。これをアコースティックギターで弾くことはできる?

旧暦の正月は立春のころだと思えば、春の海というのは今日という日にぴったりの選曲だった。