クリスマスした

2016年12月24日(土)  くもりときどき雪 これ以上寒くならないでほしい気持ち

ノルマ達成した?と訊ねると、友人はとびきりの笑顔で「ウチだけで900本売った」と言った。さすがだねー、アンタから買いたいっていう人はいっぱいいるんじゃない?わたしがその一人であるように。「毎年頼んでもらってありがとね。これ、引換券」友人はわたしにモスチケットを握らせて、「今年は時間指定とかじゃなくて、好きなときに取りに来てもらっていいからね」、言いながら車に乗り込んだ。「いつ取りに来る?24日?その日は夜も店に入ってるからさ。待ってるね」別れ際、彼女からは揚げ物の匂いがして、一年で一番大変な日の訪れを予感させたのだった。

そして今日の夕方、店に着いたわたし。駐車場はとても混雑していて、ああこの人たちはみんな今夜モスチキンを食べるのだわ、そんな気持ちで店内に入ると、混雑する店先、しかしチキンを受け取って家路を急ぐような一人もいなかった。細長い店内の、さらに奥で仕切られた喫煙スペースまで埋め尽くして、ただ座っている人たち。食事をしている人は誰もいない。そこにいたのはチキンの出来上がりを待つ人々だった。店内でのチキンの揚げ方が全然間に合っていなくて、とりあえずお席にお掛けになってお待ちください、と言われた人が店内を埋め尽くしていた。「何分待つんですか?」「今ちょっと混んでまして、30分以上かかるかも...」(まじかよ...)みたいな、絶望まじりの無言の空気が店内を支配している。彼らは業務用冷凍庫でこれから揚げられるのを待っている900本のチキンのようだった。友人はとびきりの笑顔でそれを捌いていた。ああ来年は酉年だなあ、なんて、店の外に出ると車の窓には雪が積もっていた。