ゴールデンウイーク20XX

思い思いの休みを過ごしもはや暇を持て余したわれわれはゴールデンウイーク最終日の夜に「運動部」を発足し、各自自家用車で運動公園に集合した。運動すること一時間、といっても1周1.5kmのウォーキングコースを2周したか3周したか、それではもの足りんとて車を公園の駐車場に置いたまま外に飛び出し、近くの土手を目指す。花見をしようと誰かが言った。開花宣言より少し遅れて咲くこの土手の桜はこのあたりで二番目くらいの名所であり、まあそれもとっくの昔に葉桜になっていて茂れる木々、夜の土手は早くも初夏の気配がした。

「夜の土手は早くも初夏の気配がする」。桜なんてどこにどこにと探せば、あのお社の脇で咲いてるやつ、あのピンクのやつ、あれ桜じゃない?それで近寄ってみると、それは案の定桜だった。はながみのような花房をたわわに実らせ、そして散らした八重桜だった。

 

散り際を覚悟の如し八重桜/大月桃

 

そのまま帰るのももったいないから探検した。見つけたのはなにかの施設と、誰かのお墓と、いつかの廃墟だけだった。この連休が終わったら、次はいつ集まろうか。さあ?またこんど、暇を持て余したときに。

運動公園に戻ったときには駐車場の利用時間を過ぎており、われわれの車はチェーンの向こうに閉じこめられていたので歩いて帰った。そして連休明けの翌日は平日の出勤前に歩いて車を取りに行き、運動部はそこで解散した。