無題

2018年9月23日(日)晴れ

ある雨の日、保育園からの帰り道、いもうとは写真屋の看板の影に打ち捨てられたぬいぐるみを見つけた。汚いから拾わないでと母親は言ったが、家に着いてからもぬいぐるみのことが気がかりだった彼女は泣いて母親に頼み込み、結局はわたしと三人でまた雨の中、ぬいぐるみを拾いにでかけた。ぬいぐるみはそのままの姿で看板の影にあった。いもうとはそれを拾うと、ええと、そこからの記憶がない。そのあと母親がぬいぐるみを洗濯し、それはしばらくの間、見せしめのように茶の間の壁に吊るされて干してあった。キツネのぬいぐるみだったのでコンちゃんと名付けられた。当初はマスクをしていたので風邪ひきのコンちゃんだったのかもしれない。マスクは初期の段階でどこかへいってしまった。コンちゃんはいま娘が可愛がっている。
拾いたがりのいもうとが我が家のねこを拾ってきたのも5年前の雨の日だった。後先考えずに拾ってくるのは彼女の尊敬したいところのひとつ。あいつ猫アレルギーのくせしてよく拾ってきたな。ありがとう。
写真屋は先月店仕舞して、長らく店先にあった看板もなくなっていた。