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1996年8月 20年前かよ

日記

2016年3月19日 雨 ぬるい
明日はお義母さんがやってくる。だから家中を掃除した。いわゆる水回りをいつもの倍以上に磨いて磨いて磨き上げ、トイレなどは便器を素手で洗ったという大企業の新入社員の気持ちが分かるほど親身になって接した。風呂場は夫の担当で、排水溝やゴムパッキンに哀しくも群生したカビを退治せんとカビキラーを振りかけてしばらく放置、しているあいだにわたしは出入り口の溝に埃と水分が一緒くたにふやけている考えただけで気持ち悪いのに見て見ぬ振りをしてたやつをやっつけにかかる。どのようにやっつけたかといえば新婚時代の誕生日プレゼントとして夫が買ってきてくれたエプロン、これは薄くてくたっとしてなで肩のわたしには肩ひもが合わなくて、それでも毎日着けていたけど最近エプロンを新調したことにより全く使われずに風呂場のラックの一番下にしまってあったやつ、そのエプロンに断りを入れたうえではさみで細切れにし、水で濡らせばあっという間に使い捨ての雑巾の出来上がり、あとは割りばしを使えば細かいところに手が届き、手は汚さず、納得いくまで磨き上げることができた。途中でめまいがしたのはあまりに根詰めたせいか、はたまた目と鼻の先にあったカビキラーのせいか。
この作業の間なにを考えてたかというとわたしはどこでこのような掃除の技を身につけたか、それで思い出したのは、わたしがいわゆる思春期の頃に「風呂ではただ身体を洗うだけでなく、ゆっくりと湯船に浸かってマッサージをしたりストレッチをしたり雑誌や本を読んだり、そうして一日の疲れをとりましょう」という習慣に初めて触れ、それまでは30数えるだけだった湯船に雑誌を持ち込む!それがすごく女らしいことに思えて家にある雑誌を検分したけれどあるのは料理雑誌とばあさんの趣味の雑誌だけだった。当時の女子にはピチレモンとかセブンティーン、もしくは明星なんかを読む者もいたのだが残念ながらわたしはその流行には乗れず、また母親も雑誌を書って読むひとではなかったので、わたしが風呂場に持ち込んだのは「NHKおしゃれ工房」と「すてきな奥さん」だった。「NHKおしゃれ工房」がなぜ家にあったのか、それで思い出したのは、この8月号は夏休みの工作特集で、妹はそれを見ながらおじぎザウルスを作って学校に提出していた。わたしは毎年苦労して夏休みの宿題を作り上げてきたのに妹は雑誌に作り方が懇切丁寧に載っていて、それを見ながら簡単に宿題を終わらしてしまったずるい、と今でも思っているが、それで思い出したのは、この時期は母親の入院騒動があって宿題もろくに見てもらえなかったんだった、家族みんなが大変だったんだな。ただし風呂場で読みごたえがあったのはおじぎザウルスよりもドールハウスの作り方だった。
割りばし雑巾の使い方は「すてきな奥さん」に載っていた。