ななゆう

2016年7月7日(木) くもり時々雨 七夕

朝にテレビをつけたら「きらきらひかる~ おそらのほしよ~」のんきにきらきら星なんぞ歌っていて、七夕といったら「たなばたさらさら~ のきばにゆれる~」じゃんかよお、と思ったけれども正しくは「笹の葉さらさら」。たなばたさまと呼ばれるこの曲の歌詞には一度も「七夕」という言葉は出てこない。「おほしさまきらきら」は2回出てくる。
そう、7月7日はきらきらしている。今日は朝からいいことありそなそんな気分で、なんとなくついったをチェックしたら七物語というすてきな短歌の配信があったので一か八か財布を確認した。200円と少し残っていた。帰りにコンビニ寄った。このコンビニは昼にたびたび訪れてはたらこクリームスープパスタを買っているので、わたしの中ではたらこと呼ばれている。120円使ったら残金なくなったので今日は買わなかった。短歌のテーマは遠距離恋愛、七夕は織り姫と彦星の恋愛に由来することをわたしはすっかり忘れていた。こころがきらきらする。

はいおめでとう

2016年7月2日(土) くもり時々雨 晴れ女、仕事する

着いたときには鳥居の下に立つ二人が見えた。ぱらぱらと降っていた雨は上がり、置き土産のような湿度が存在感を増している。あたりまえだけど白無垢は初めてお目にかかったから、最初は別の人かと思ったよ。あんなに面白がっていたのに結局かつらをつけて綿帽子を被っておった。白無垢の衿にはビーズの刺繍が施されていて、可愛いねと言ったらそうでしょう可愛くしてもらってね、と言う。式の始まる前に時間があってよかった、こんなに可愛い白無垢姿をよくよく観察した。着物の中は蒸し風呂でさ、と言っていたけど、頭の上も蒸し風呂だったと推測する。
親族が集まれば笙の音が先導して行列が始まる。プィ~という目出度い席でおなじみのあの音、たった一人が鳴らす笙からいくつもの音がでているんだった。ハーモニカのような。興味深い。わたくしごとですが我々の時は笛だった。笛は吹き手の微妙な息遣いを拾うから、歩きながら笛を吹くのはさぞかし大変でしょうねなんてことを始終思わせながらの先導だった、笙は音がいっぱいあるからそんなこと心配ご無用だった。神社の人も雅楽器をとっかえひっかえしながら日々パフォーマンスに磨きをかけている。
本日はご結婚まことにおめでとうございました。わたくしごとですが我々の披露宴であなたにいただいたご祝儀袋の中身が空だったこと、今日まで誰にも喋っていません。もちろんあなたも。これからもこの秘密を胸にしまって生きて参ります。そちらもどうぞ末永く、お幸せに。

無題

2016年6月30日(木) くもりのち雨 うるおうお肌

赤ちゃんとはいい匂いの生き物だという思い込みから他人の赤ちゃんの頭の匂いを胸いっぱい吸い込んでみたら「くさっ!」ふつうにおっさん臭くてリアクションに困った。どうして、我が娘の頭なんて産まれて間もなくの頃から今に至るまで夏も冬も甘い匂いがして、わたしは心の中ではわたあめちゃんと呼んでいる。わたあめちゃんは眠りに落ちる間際に身体を敷き布団とマットレスの間にねじ込む習性があり、そのままずぶずぶと頭の先まで潜り込んだところで規則正しい寝息が聞こえて寝かしつけ完了となる。敷き布団とマットレスに挟まって出たり入ったりする様は二枚貝に似ていて、わたしは心の中でははまぐりちゃんと呼んでいる。

この6月は

2016年6月29日(水) 晴れ 蝉が鳴く

この6月は人のしぬのが多かった。わたしは喪服を着たり仕事を休んだりしながら一方で世間はジューンブライド、ドレスを着たりお祝いを用意したり、そこでふと、平常心で過ごす週末とはどんなものだったか、おそるおそる散歩へ繰り出せば、日曜夕方の運動公園は幼女を連れた父親しかいないのでありました。帰る道すがら初めてこの地を訪れた人のような気持ちになり素直に道路標識に従えばそこは一方通行で、そういえばこの世も一方通行よなあと悟ったそのとき左手には明るい家族計画の自動販売機がありました。今時珍しいこの自販機の隣は薬局ではなかったと記憶する。

きょう扇風機出しました

2016年6月11日(土) 晴れ 窓を開ければ夜風が涼しく、

開いた窓から踏切の音が微かに聞こえるほどには都会に住んでいる。踏切の音がするとじっと耳をこらし、次第にやってくる電車のいななきを聞き漏らさないようにする。特急も貨物列車もいななきは同じ、ただ頭の中で10数えるうちに終わらないやつは貨物列車で、電車のいななきもねこの鳴き声も隣家の水洗便所の流れる音もお構いなしに眠りの淵に片足をつっこんでもがいている娘よ、ああこいつが通り過ぎる前に眠ってくれればいいのに。隣家の水洗便所からはしょっちゅう水を流す音が聞こえてくる。

ドーナツに会えない

2016年5月14日 晴れ ドーナツ日和

駅前のmisterdonutが来週で閉店すると渡部さんから聞いたとき、わたしは耳を疑い、それから渡部さんを疑った。「嘘でしょ?」だってこの街の駅前にはStarbucksもMcDonald'sもない、更にいうならconveniencestoreすらないからsevencafeもない、このうえmisterdonutまでなくなれば、いったい次の電車が来るまでの59分間をどこで過ごせばいいというのか。そういえば先日駅前を通ったとき、尋常じゃない数の男子小学生がmisterdonutに集まってきており、その一部は案の定入り口から溢れているところに女子大生のグループが加わり、もはや慢性的に行われている100円セールにこんなに人が集まるもんかなァ、なんて暢気にスルーしたわたしのばか。事はこんなにも深刻だった。
駅前のmisterdonutはわたしが駅前を駅前と認識した頃にはすでにあったと記憶している。わたしはドーナツという食べ物があんまり得意じゃなくて、そんなに熱心には通わなかったから、ポイントを集めて景品と交換したことはない、可愛いとは思っていたのだけど。それに飲茶を振る舞うのも意味不明だった。どうしてドーナツ屋の店内でラーメンを啜れようか。甘いものを食べたらしょっぱいもの、しょっぱいものを食べたら甘いもの、しょっぱいもの、甘いもの、しょっぱいもの、甘いもの…それがドーナツ食べに来る客の要求なのか。けれども残念なことに、misterdonutの椅子とテーブルは、ドーナツとラーメンを並べるには狭すぎる。
misterdonutは不思議なドーナツ、半年に一度無性に食べたくなるときがくる。3つくらい買って八合目まで行って車で食べたこともある。3つはさすがに買いすぎだ、ひとつを食べ終わる前にそうやって後悔することもある。もう半年は食べなくていいや、そんなわたしを変えてくれたのはたったひとつのドーナツだった。オールドファッションハニー、それはシンプルで飽きのこないオールドファッションを優しい甘さのハニーでコーティングしたオールドファッションハニーだった。そういえばオールドファッションハニーからハニーのニュアンスを感じたこと、ないな。娘を寝かしつけたあとにこのオールドファッションハニーと更にあまーいカフェオレで一杯やるのが唯一の楽しみ、なんて日々が続いたこともあった。その分を夫に買いだめしてもらったこともあった。余った分は冷蔵庫に入れといて、翌日や翌々日はトースターで温めると信じられないくらい口溶けがよくなる、という発見もした。こんなに愛したオールドファッションハニーなのに、隣町のジャスコに入っているmisterdonutでは扱っていない。だからわたしは再来週から、オールドファッションハニー難民にならねばならない。

晴れ

2016年5月3日 晴れ

二転三転した天気予報も22℃の快晴降水確率ゼロパーセントに落ち着いて、われわれは公約通り動物園に行く。動物園に行く服がなかったから先週ユニクロに行って白いパンツを買ってきた。白いパンツをはくためのパンツがなかったから昨日下着屋で白いパンツを買ってきた。
耕したばかりの土から立ちのぼる湯気はふもとの町を靄だらけにして、そのなかをわれわれの車は進んでゆく。


今週のお題ゴールデンウィーク2016」