短歌の目2月 投稿します

考えているうちに春になりそうな。

今月もよろしくご覧ください。

 

 


1. 洗
三十路には三十路の身体つきがあり洗濯表示を無視してわらう

 

 

2. 鬼
プロテインプロテイン、って喧しい背中の鬼に納豆投げる

 

 

3. 入
恋人に化粧ポーチを晒すとき入植者の目をしているわたし

 

4. チョコ
純白にチョコを散らかす踏む抉る油圧ショベルは春を探して

 

 

5. きさらぎ
北からの汽車は今年もきさらぎの半ばあたりで電車になった

 

 

テーマ詠「夢」


てのひらを子宮にあててねむる朝 永久歯ばかり舐めている朝

短歌の目一月 投稿します

主催者の卯野さんには毎月締切ギリギリでお世話になっております。今月はなんと締切を過ぎてしまいましたが!ひとつよろしくお願いいたします…

よろしくご覧ください。

 

 

1. 編
ついさっきひとつのパイのおはなしが終わりましたまたパイを編む

 

 

2. かがみ(鏡、鑑も可)
手鏡で青海苔チェックしただけで乱反射する朝よ希望よ

 

 

3. もち
つきもちをふたつ齧ってきみのことどれから想い出そうって思う

 


4. 立
明け方の洗濯物よ立春はすべてのものにわずかやさしい

 


5. 草
雑草を引っこ抜いて「ラピュタ」ってわらったこともあった
バルス

 

 

テーマ詠「初」
初ゆきを降らせてふたり夜明けまでつちを見なくていいとおもった

短歌の目12月 投稿します

間に合ってよかった、これで年が越せるってな感じです。よろしくご覧ください。

 

1. おでん
年末をウィークエンドと言わしめておでん おまえと年を越すのか

 

2. 自由
左から時計回りにやってきた自由なあの子がくれたラの音

 

3. 忘
冬型の気圧配置の匂いなら忘れないから 空が晴れても

 

4. 指切り
指切りはアダムとイブの知恵くらべ 足の踏み場もないほどリンゴ

 

5. 神
臍の緒のごと充電器手繰り寄せ繋がるさきに神ぞあらんや

 

テーマ詠「冬休み」

あらたまの雪や染まれのエモーション#595857

短歌の目11月 投稿します

今月もよろしくご覧ください。

 

 

 

1. 本
路地という路地には本初子午線の呪いが満ちて今日を仕上げる

 

2. 手袋
小岩井の羊 六花を食むごとに偶蹄類の手袋を編む

 

3. みぞれ
半分は東京行きの雪になり もう半分にみぞれ降る朝

 

4. 狐(きつね、キツネも可)
狐火は電信柱に留まってさみしいひとのベッドを照らす

 

5. メリークリスマス
ハッピーハロウィン! 三列シートの真ん中に押し込められて メリークリスマス!

 

テーマ詠「酒」

これとこれ好きだったよねとあの頃のコードネームの前に立つきみ

 

茶箪笥の茶筒の中のビー玉が待っててくれたような ロブ・ロイ

 

 

今月は旅行したりライブに行ったり非日常が多かったからか、「詠みたい!」と思える材料がたくさんあって考えるのたのしかったです。経験が大事なのだな、なにごとも。

一歌談樂vol.2 参加します

こちらの企画に参加します。

dottoharai.hatenablog.com

 

3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって(中澤系)

 

 「理解」とはどの部分の理解を指すのでしょうか。わたしは今のいままで「電車が来る危険」を理解できるかできないか、で考えていた。けれどもそういえば、数あるプラットホームの中で「三番線」を選んだ意味も、電車の種類の中から「快速電車」を選んだ意味も、到着でなく通過してしまう意味も、理解できていない。

 ちなみに、わたしの住む地域は田舎だからプラットホームは大まかに「北方面行き」と「南方面行き」の二つしかなく、三番線というのは存在しない。ただし線路は敷いてあって、おもに貨物列車がそこを通過していく。当駅には(田舎といえども)快速も特急も停まるが、けれど一つ前の無人駅は特急や急行はおろか快速すらも通過していく。

 もしわたしがこの無人駅のプラットホームに立ったとき、北に行くでも南に行くでもなくただぼんやりと立ったとき、突然「三番線に~」とアナウンスがあったとしても理解できないだろう。危険か否かの前に、アナウンスの意味が理解できない。けれどもとりあえず「下がって」と言われれば、まあ下がると思う。

 それはわたしの意思で「意味わかんないけどとりあえず下がれの指示に従う」、というよりは、アナウンス側が「下がれの指示に従わせるためにとりあえず意味のわからんことをいった」、みたいな強引さも感じられる。アナウンスは、無人駅の自動アナウンスは、三番線に誰も近づいてほしくないのだ。

 ただし『さんばんせんかいそくでんしゃがつうかします』この意味を理解できる人がいるなら、特にアナウンスはしませんのでどうぞご自由に、そんな突き放した態度、引き留めることを諦めてしまった雰囲気まで感じることができる。

短歌の目10月 投稿します

遅ればせながら、10月も参加します。

よろしくご覧ください。

 

 

 

1. 渋
駅前の渋滞緩和を考慮して、まず真っ先にスズカケノキを、

 

 

2. 容

気を抜けばこぼれてしまう危うさの容量わずか18リットル

 

 

3. テスト

夜ひとり 女系家族の嫁として腹を決めればテストステロン

 

 

4. 新米
新米を楽しみに待つ楽しみはあと半年と六ヶ月先

 

 

5. 野分
午後二時の稲株そよとも動かせず野分は空を鳴らして去った

 

 

「空」
フォグランプ、もしてる匂い、家の鍵、『新世界より』第二楽章

短歌の目9月 投稿します

短歌の目、第二期がはじまって嬉しいです。よろしくご覧ください。

 

題詠5首

1. 星
オールナイト 非行少女はスモッグの上に煌めく星を知ってる

 

 

2. 吹
隣人は善人ばかり あなたにも山吹色のお菓子をあげる

 

 

3. はちみつ
はちみつのやさしさなんて無関係バウムクーヘン焼きは短命

 

 

4. 川
モモタロや、ガンジス川を下るときルート分岐は恒河沙にある

 

 

5. 秋刀魚
ながからむ髪を刈ってはちゃぶ台へ やあ待たせたなごめんな秋刀魚

 

 

テーマ詠「秋」

モノクロの世界だろうと構わないこの新米が真っ白だから

 

 

じんるいよこよいの月はしょうがいでもっとも綺麗とおしえてやろう

 

 

サイレンは遮るものもないままに過ぎ去ってゆくなにもない秋

 

 

最近の服の寿命というものを知りたくなくて祖母のセーター