日記

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「おまえさん、いつまでこの舟に乗る気だい」 この人は顔をあわせるたびにこんなことを言う。 「この舟もすっかり古くなって、足も遅いし、なによりもう誰も乗せらんねくなっちまった。いい加減に次を考えといてくれよ。俺はもう何ヶ月も前からそう言ってん…

そんな夜だった

2016年9月7日(水) おおむね晴れ 夜になり気温が下がる 今日は集まりがあって終わったのは夜九時、そこから20分かけて上司を家まで送った。上司の家は山沿いにあり、街灯のほかには一つ信号があるだけの田んぼ道を緩やかに登っていく。ただでさえ方向感覚が…

色とりどりの風船のかけらが

2016年9月5日(月) 晴れてる! 水道のそばには色とりどりの風船のかけらが散らばっていて、あいつらまた来たんだな、と思った。 夏の始まり、というか夏休みの始まり、ここらの学校が一斉に夏休みに突入したその週末にポケモンゴーがリリースされて、ふだんよ…

餃子

「母さん、どうしたの?父さんの部屋」 キッチンに降りていくと母は餃子を包んでいるところだった。ボウルの中に挽肉とピーマンが見える。ピーマン入りの餃子は父の好物だった。 「どうってことないわよ。ただなんとなく、父さんがふらっと帰ってくる気がし…

夏のコインランドリーは

2016年8月14日(日)晴れ 陽射しは強いが風が涼しい 今日は娘と一緒に仙台の街をブラブラする予定だったのだけど、娘が風邪をひいてしまったのでわたしはコインランドリーに来ている。夏のコインランドリーは涼しく、なのにいつ来ても陽射しだけ強い。 お盆…

時をかける短歌

婚約のときの約束はたさんとゴキブリを手に封じ込めたり (康 哲虎/NHK短歌 2015年11月号) 2016年8月5日(土)晴れ 水まんじゅうを買う 去年の夏は乳飲み子と二人きりで夫の帰りを待つ生活が続いていて、その日なんとなく付けたテレビではNHK短歌が始まった…

プラスチックの卵焼きはプラスチックのたくあんに酷似していた

2016年7月18日(月) 朝のうち雨のちくもり もうすぐ満月 今日も今日とて不幸騒ぎで、わたしは喪服を着て線香の匂いの中にいながら、今まで世話になったことのある親戚や世話にならなかったけど人生でなにかしら接点のあった親戚のことなど考えていた。線香…

かみ

2016年7月13日(水) 晴れのち雨 このペーパーレスの時代にこんなもん客に送ったって紙代印刷代郵送料がもったいないだけっすよね、同僚の同意を得たわたしは正午になるやいなや千円札を握りしめて“たらこ”に向かった。たらこクリームスープパスタは163円だっ…

ななゆう

2016年7月7日(木) くもり時々雨 七夕 朝にテレビをつけたら「きらきらひかる~ おそらのほしよ~」のんきにきらきら星なんぞ歌っていて、七夕といったら「たなばたさらさら~ のきばにゆれる~」じゃんかよお、と思ったけれども正しくは「笹の葉さらさら」。…

はいおめでとう

2016年7月2日(土) くもり時々雨 晴れ女、仕事する 着いたときには鳥居の下に立つ二人が見えた。ぱらぱらと降っていた雨は上がり、置き土産のような湿度が存在感を増している。あたりまえだけど白無垢は初めてお目にかかったから、最初は別の人かと思ったよ。…

無題

2016年6月30日(木) くもりのち雨 うるおうお肌 赤ちゃんとはいい匂いの生き物だという思い込みから他人の赤ちゃんの頭の匂いを胸いっぱい吸い込んでみたら「くさっ!」ふつうにおっさん臭くてリアクションに困った。どうして、我が娘の頭なんて産まれて間も…

この6月は

2016年6月29日(水) 晴れ 蝉が鳴く この6月は人のしぬのが多かった。わたしは喪服を着たり仕事を休んだりしながら一方で世間はジューンブライド、ドレスを着たりお祝いを用意したり、そこでふと、平常心で過ごす週末とはどんなものだったか、おそるおそる散歩…

きょう扇風機出しました

2016年6月11日(土) 晴れ 窓を開ければ夜風が涼しく、 開いた窓から踏切の音が微かに聞こえるほどには都会に住んでいる。踏切の音がするとじっと耳をこらし、次第にやってくる電車のいななきを聞き漏らさないようにする。特急も貨物列車もいななきは同じ、た…

ドーナツに会えない

2016年5月14日 晴れ ドーナツ日和 駅前のmisterdonutが来週で閉店すると渡部さんから聞いたとき、わたしは耳を疑い、それから渡部さんを疑った。「嘘でしょ?」だってこの街の駅前にはStarbucksもMcDonald'sもない、更にいうならconveniencestoreすらないか…

タイトル ビラビラ

「来たれ 初心者!!!」 知識や技術は二の次で ほんとうに必要なのは 健全な肉体と 音楽を楽しむ心です (とはいえ 経験者大歓迎です ^^♪) そんなカラダもココロも 持ち合わせてねえよという そこのアナタ 大丈夫です 私たちと一緒に作り上げていきましょ…

いもうと

2016年4月20日 晴れ 散ってる桜 今日は主人が接待で帰りが遅いんですの、と実家で話していたらいもうとがやってきて、うちも今夜は主人がおりませんの、まあおほほ、それでいもうとを我が家に勧誘して、夕飯を作ってもらって一緒に食べた。今から寝室に布団…

9ミリメートル

2016年4月10日 晴れ 公園の桜はピンク 耳の上に9ミリメートルのデルタをこしらえました。 先日の飲み会でちょっと理不尽な説教に巻き込まれた。職場で理不尽な目に遭うなんて不毛すぎると思っていたのでできるだけ回避しながら過ごしてきたつもりだけど、や…

この記事は段ボール箱の上で書かれています

2016年3月28日 晴れ 春の陽気 日曜日は晴れ、春の陽気、すこし遠出しようと思いつつ気がついたら高速道路に乗って山の向こう、サービスエリアの食堂でカレーを食べていた。せっかく山を越えたんだもの、すこし足を伸ばそうと思いつつ気がついたらジャスコで…

1996年8月 20年前かよ

2016年3月19日 雨 ぬるい 明日はお義母さんがやってくる。だから家中を掃除した。いわゆる水回りをいつもの倍以上に磨いて磨いて磨き上げ、トイレなどは便器を素手で洗ったという大企業の新入社員の気持ちが分かるほど親身になって接した。風呂場は夫の担当…

コップ、プラスチックの、緑色の、

2016年3月11日 雪 この日はいつも雪が降る 先輩の息子は小学生でクラスの人気者でいて、学校から帰ってくると今日はどんな活躍をしたかいかに面白いことをして笑いをとったか毎日報告してくるんだと喋る先輩も職場の人気者だった。クラスに必ず一人はいた人…

好きな季節があるということは日々の暮らしを豊かに以下略

2016年2月7日 晴れときどき雪 せっかく天気が良かったのに一日中家の中にいてしまった後悔 きょう自覚した、わたしは春という季節が好きだ。春そのものというよりは、冬から春に向かって徐々に解放されていくこの感じ、が好きだ。いったいなにから解放される…

日本の総人口は

2016年2月4日 晴れ晴れ 立春 日本の総人口は一億二千六百八十二万人*1、平均年齢は四十六歳*2、よって昨日撒かれた豆の数は五十九億六千五十四万個。なお大豆ひと粒の重さは〇.三五グラム*3であり、大豆の年間収穫量は二十三万千七百トン*4つまり六千六百二…

渡辺翁

2016年1月29日 くもり 急激に食欲が増す お客様、お忘れ物がございます。 忘れ物には「○○村 渡辺 電話番号×××-××××」と明記してあったので電話をかけると、春までとっておいてくれ、という気の長い返事が返ってきた。春までってなんだそりゃ、こちらで預かっ…

お題「雪」

2016年1月27日 雨 この雨で道路の雪はすっかり融けた 右に左に上に下に、揺さぶられながら車を運転する。なぜって雪の塊が道路に横たわっているからで、うっかりスピードを出して突っ込むと車は小さくジャンプした。ラジオからは外国の日常会話が流れていて…

これはメモです、コインランドリーに関する。

2016年1月26日 くもり 寒くない一日 日曜日にコインランドリーに行く。 マットレスカバー1枚、シーツ2枚、タオルケット2枚、毛布カバー2枚、掛布団カバー2枚、枕カバー2枚、子供用の敷布団カバー1枚、掛布団カバー2枚。を23kg用の洗濯機に入れて1,000円投入…

ネコのために毛布を出しております

2016年1月11日 くもりときどき雪 冷えてきた超冷えてきた 家の外どころか部屋の外まで超冷えてきたけど、この部屋は一日中つけていた暖房のおかげであたたか。それでもネコが居場所を探して近づいてきたから、毛布を広げております。 元旦の夜を最後に娘にお…

今年の書き初めは「早寝早起き」

2016年1月2日 仙台は晴天なり 帰路に雪なし渋滞もなし 新年を迎えた夫の実家では豪華なおせちを用意してくれていて、黒豆や数の子に負けじと存在感を放ったなにかをかじりながらここに酒があればなあと思ったのだった。なにかはカタカナで作られていて、これ…

年賀状を印刷しているあいだに洗い物をしようと思っていたのに気づけばインターネットしてしまっている

2015年12月29日 くもりときどき雪(固め) 昨日よりマシかと思えど昨日より粒が大きい雪に打たれた 毎年のことながら年末は忙しい。今年は娘もいるしー、職場も異動したばかりで仕事に慣れないしー。忙しいふりをして年末始末を後回しにし続けて、気づけば明…

職場のおっさん

2015年12月15日 晴れ 信じがたいことに今日で31歳になる出産してまもなく30歳をむかえ、そこから今日まではフルスピードで過ぎていったからわたしには30歳の自覚がなく、いつまでも「アラサー」の響きを楽しむ29歳のままだった、とっくの昔に「サー」になっ…

先日の説について、

2016年12月14日 晴れ 今日は討ち入り☆ 夫よ、きみはどこから来た? kazagurumax.hatenablog.com 彼はアカチャンというのは父母二人が揃ってはじめてうまれるのだ、と言うので、わたしはじゃあこの話はこれでおしまい、と思ったが、そのあとにこう続いたのだ…