職場のおっさん

2015年12月15日 晴れ 信じがたいことに今日で31歳になる

出産してまもなく30歳をむかえ、そこから今日まではフルスピードで過ぎていったからわたしには30歳の自覚がなく、いつまでも「アラサー」の響きを楽しむ29歳のままだった、とっくの昔に「サー」になっていたのに。さらに信じがたいことに今日で31歳、だけど自分の誕生日が「特別な日」という感覚はなくなって、特別な日というならそれは娘の誕生日になってしまって、結局今年も歳をとりそびれてしまった気がする。このギャップは良くない。同級生はおのれの誕生日にこぞってサーティワンアイスクリームを食べたというので、わたしは食べてやらないことにする。


職場に気のいいおっさんがいて、彼は陽気な用務員さんである。昨日給湯室で唐突に、ふだんどんな音楽を聴くのか訊かれた。

その日わたしの目覚めは最高によく、なぜなら好きなアーティストが枕元で弾き語りするという夢を見たからなのだけど、そのアーティストのことが真っ先に浮かんだものの口に出すのは憚られ、どんな音楽と訊かれて答えるのにすこし考えてしまった。ひとと音楽の話をするのは楽しい。趣味が合っても合わなくても、好きな音楽教えてって思う。だけど自分の趣味を話すまでにはいくつか段階を踏まないといけない気がして、だから相手によって3つくらい答えを用意していたりする。そのひとつ(レベル2くらいのやつ)を答えようとしたとき、それを待たずに用務員さんが自分の趣味を教えてくれた。まあ朝の給湯室でわたしなんかにそんなこと訊いてくるあたり、よっぽど話したいことがあったんだろうなと思う。

彼はメタルが好きらしい。おおまかな歴史やジャンルやおすすめのアーティストなどがばんばん飛び出してきて、わたしはメタルにはちょっぴりの興味があるから、たいへんありがたく教えてもらった。初老の用務員さんの見た目からは想像もつかないが、車の中で大音量で聴いているといっていた。そういう話を一方的に聞いて、わたしは朝からすごく癒された。明日も彼と音楽の話ができるといいなと思う。明日はライブに行ったことがあるかについて聞いてみようと思う。それから教えてもらったおすすめアーティストの名前をひとつも覚えられなかったから、もう一回教えてもらおうと思う。ほかの社員のひととも同じような話をしていたら、ちょっとヤキモチ焼くかもしれない。