春になったら子にウォシュレットの使い方を教えてあげようとおもう

2022年2月6日(日)くもり時々雪

子が風邪をひいた。高熱でだるそうで、風呂には入れられず、顔だけ洗って寝かせた。こういうときウォシュレット使えたらなあ、と思った。子はまだ、ウォシュレットを使ったことがない。

ウォシュレット、わたしが初めて使ったのは小学二年生のときだった。実家がリフォームされて、それまで和式のボットン便所だったのが洋式の水洗便所になった。しかもトイレの数が二つに増えた。じいちゃんばあちゃんの寝室のそばに新しく作られたトイレに、ウォシュレットは付いていた。

使い方がわからなかったので、お尻を出して便器に腰かけ、トイレのドアを開けて、親に教えてもらった。たしかおとーさんだったと思う。「おしり」を押すと強くて細い水が出る、「ビデ」を押すと弱くて幅のある水が出る、「乾燥」を押すと風が吹いて尻を乾かしてくれる。おしりは水色、ビデはピンク、乾燥は黄色のボタンだった。尻はなかなか乾かなかった。水勢の強弱、水温や温風の高低を調節するツマミも教えてもらった。ウォシュレットのボタンで覚えた漢字もあるだろうと今おもった。

はじめて「おしり」の水を尻に受けたとき、勢いが強すぎてくすぐったくて、耐えられなかった。そののち妹4歳も「おしり」の洗礼をうけ、まだ小さかったから、くすぐったがりながらその水を背中まで受けて母親の仕事を増やしていた。わろた。

人が座っていないときにこのボタンを押したらどうなるんだろう、と試したこともある。けれどもわたしはめちゃくちゃ慎重なので、水勢のツマミを最低にしたうえで水勢の弱い「ビデ」を押した。伸びたノズルから水はおだやかな噴水のように湧き出でて、わたしはふーんと思った。妹を呼んできて、水勢のツマミをどこまで動かすと(あるいは「おしり」にすると)水が便器の外に飛び出すかのチキンレースもやった。そののち友人の家に行って、その家も新築でウォシュレット付きトイレを初めて導入したところだったが、二人でトイレにこもり、人が座っていないときにこのボタンを押したらどうなるんだろうをやった。このときは友人主導で、彼女はとくに慎重ではなかったから考えなしに「おしり」のボタンを押し、勢いよく出てきた水で床が水びたしになった。慌てたが、自らの尻で便座にふたをしようにも服を着ていてそれもままならず、床の水たまりは大きくなる一方だった。わろた。どうにかノズルを引っ込めて、トイレットペーパーで床を拭いている最中に彼女のお母さんがきて、あらあらまあまあ、と言った。彼女のお母さんはわたしたちが何かやらかしてもあらあらまあまあでさらにこちらの心配もしてくれて、今考えると心が広いな。わたしが帰ったあとに怒ったりしたんだろうか。

ウォシュレットネイティブのわが子が、今まで「おしり」「ビデ」といったボタンになんの疑問も持たず、ただただ流すためのボタンしか押してこなかったのは奇跡といえよう。娘は大丈夫だったけど息子がそうなのかどうかはわからない。これから。

会社の先輩と後輩と三人でよく飲みに行っていた時期があって、先輩が「おれウォシュレットにはうるさくて、出先ではトイレに寄って必ずウォシュレットを試す」と言っていた。わたしは公共施設のウォシュレットってあんまり使いたくないなと思っていたので、そしてそういう人が世の中大半だと勝手に思っていたので先輩の言動に感心した。ちゃんと使う人がいてよかったと思った。先輩のいる部署のトイレをリフォームするので意見を求められた際はウォシュレットにこだわって便器を選んで入れてもらったと言っていた。その先輩と後輩がめでたく結婚し、新居にお邪魔したとき、お手洗いをお借りして、ウォシュレットボタンを見た。よくある普通のウォシュレットだった。使い心地を試してみる気にはならなかった。

春になったら子にウォシュレットの使い方を教えてあげようとおもう。子は春に小学二年生になる。