朝顔、セミ、

2021年9月2日(木)晴れ 秋の晴れ

朝顔

子が夏休み前に学校から持ち帰った朝顔は、それから毎日よく咲いた。咲いた花の数だけ色をぬる宿題があり、毎日10個近くも咲くので塗るのが面倒くさいと発狂していた。夏休みが終わってみれば花の数は180個を超えていた。おともだちの朝顔はどうだったと聞くと70とか80だったというので、これはもう子の優勝でしょうという誇らしい気持ちがあり、けれどこれはわたしのがんばりではなく、子の努力の成果でもなく、ただアタリの朝顔だったという事実がかなしかった日もあった。

夏休みが終わって朝顔の鉢を学校に戻す前にこっそり種を採った。茶色くなった実から種を取り出し、数えて、お気に入りのケースに入れ、ケースのフタをマスキングテープで留めてぬいぐるみに見張らせていた。

 

セミ

今年の夏はよく玄関にセミが落ちていた。「足が開いてるのがまだ生きてるやつで、閉じてるのがもう死んだやつ」と子が言うのでよく見ると足が開いていて、それならば助けてやろうと手を差し伸べた。玄関の中からいちばん細い傘を持ってきて差し伸べた。セミが弱々しくそれを掴んだのでそっと庭先の日陰に運んでやると、それまで半分死んでいたようなやつが急にジジジと飛び立って、玄関の真上にあるベランダの壁にぶつかって落ちる音がした。あーあと思い見にいくと、昨日一匹だったベランダのセミが二匹になっていた。そのようにしてベランダのセミはよん匹まで増えた。ある日曜日の朝、とても早い時間に、開いたベランダの窓の向こうに生き物の気配を感じた。警戒し、まだ寝ている夫を起こしてそっとカーテンから覗くと、カラスが来てセミを食っていた。カラスは我々に気づくとどこかへ飛んでいき、ベランダには食われたセミの羽根だけが残った。その後わりとたくさんの雨が降り、ベランダのセミはみんななくなってしまった。