日記

2022年10月11日(火)横浜は晴れて暑かった

まだ暗く雨の降る中地元を発ち、よく晴れた羽田空港に降り立ちました。朝早いうちから、と思っていたのに世の中はとっくに動き出しておりました。わたしは飛行機が苦手です、怖いから。外が見えると怖いから通路側の席を選択した。本を持ち込んでやり過ごそうと思いましたが離陸からしばらくずっと揺れておった。揺れるっていうか下降するじゃんね、上昇してるくせにー。おしりがふわっとなる。怖かった。読んでる内容が頭に入らなくもあった。それでも飛行が安定すると読書も捗り、「まもなく当機は着陸態勢に入ります」、ほーんと思ってるうちにドスンと衝撃があって、あっという間に着陸していた。着陸の恐怖全然感じなくてよかった。
横浜で研修があったのでシャトルバスで向かう。夕方終わる。
せっかくだから鎌倉にでも行こうじゃないかと電車を調べたのに駅構内で迷った。乗り場を探してるうちに良い頃合いの電車はみんな出発してしまって、このままだと飛行機の時間に間に合わなくなってしまうのではと鎌倉行きをやめた。行き先を羽田空港に切り替え電車を探したのにまたしても駅構内で迷う。駅構内、方向感覚なくなりすぎてひいた。同じところを何度も通った気がするし、別の建物に入ったような気もする。柱にもたれながらスマホをぐりぐりしてるとき、「スミマセン、〇〇乗り場を探してるんですけど」って女性に声をかけられた。あ、わたし地元の人じゃないんで、と断ったらその方は隣の二人組に同じ質問をし、二人組は親切に教えてあげていた。女性が去ったあと、「ていうかすごくない?こんなに人がいるのにウチらが声掛けられるなんてさぁ」と喋っているのが聞こえたので、(あたしゃもうこの人らに聞けんな…)と思いながらまた歩いた(迷った)。
無事に羽田空港に着いた。余裕をもって着いたと思ったのに、お土産買ってから夕食を、と思うとまた(飛行機に間に合わなくなってしまうのでは)と考えてしまい、結局保安場内で簡単なものを食べて終わった。最近気づいたんだけど、ひとりだと食事を疎かにするな、自分。食事よりほかのことを先に済ませたくて、食事の時間がなくなりがち。結果簡単に済ませがち。まあ駅構内を歩き回ったり、空港内を端々まで歩いて案内図を頭の中でなぞったりするの、結構楽しかった。ゲームの中マッピングしてる感覚なのかな。そういうことで満足してしまいがち。
案の定時間が余ったのでロビーでぼんやりする。前に座った人のスーツケースが銀色のアルミ製で、視界の端にあるとゴミ箱かと思ってしまう。見直してゴミ箱なわけないよな、と思うのに、しばらくするとまたゴミ箱かと思ってしまう。搭乗前にゴミ捨ててこう、と毎回思う。
飛行機は無事に着きました。

日記

2022年7月15日(金)あめ

娘が一年のときから通ってる学童で初めて仲良くなった女の子のことが今も大好きらしくて、将来は〇〇ちゃんと結婚したい、と言っている。先日はかわいいブレスレットをつけて帰ってきて、〇〇ちゃんと一緒に作ってお互いにプレゼントしたの、と言っていて、(あーいいなぁ)と思った。それをおとうと一歳が急に引っ張ったので、ブレスレットは千切れて、小さなビーズが一斉にパーンと弾け飛んだ。あわててビーズを拾い集めるわれわれを差し置いて、娘はおとうと一歳の背後に立つと、ペチンと頭を叩いた。当然泣き出すおとうと一歳、当然怒るわれわれ。娘は目に涙をいっぱい溜めて、「だから一人っ子がよかったのに!」と言ったあとうわーんと泣いた。なんか様式美だと思った。

くしゃみをしようと顔をしかめるとき

2022年5月30日(月)晴れ

くしゃみをしようと顔をしかめるとき、それを失敗させようとして娘のやつが笑わせてくるんだけど、もののけ姫の、アシタカがナゴの守の最期を知らせようと差し出した腕のにおいを嗅ぐ乙事主の鼻の穴のアップ、を思い浮かべると、娘の妨害に屈することなく気持ちのよいくしゃみが出せそうなことに気づいた。明日から実践する。

ルンバがきた

2022年2月15日(火)くもりのち雪

ルンバがきた。

まもなく育休が終わってフルタイム共働きの生活がはじまる。たいへんだってみんな言ってるけどわたしは絶対苦労したくない。少しでもラクしたくてお掃除ロボットの導入を検討し、電機屋に見に行ってみたけどイマイチ操作感がわからなかったのでレンタルを利用した。わたしにしては行動が早い。自由がきくのは今だけだという焦りがわたしを動かした。

お待ちかねのルンバ、起動したら音が大きくて赤が泣いた。掃除機だからうるさいのは納得なんだけど、うるさいうえに自分に向かってくるのが怖かったらしい。猫は無反応だった。ルンバは壁にぶつかり角度を変え、家具にぶつかり角度を変え、その角度がバラバラで、ちゃんとムラなく掃除してくれてる??、と不安になる。いちばん掃除してほしかった消しごむのカスはブラシが弾いて、床の上をぴょんと移動しただけだった。

23分掃除してルンバは基地に帰っていった。これ買う必要あるかな?、子にたずねる。子も消しカスぴょんを目の当たりにしてがっかりしているようだった。やれやれ、ルンバを点検しているとき、猫がテーブルの上の鉛筆削り器を落として、削りカスが床の上に散らばった。わたしはコード式掃除機を持ち出してそれを吸い、そのままルンバが掃除したばかりの部屋全体をもう一度掃除した。いにしえの姑みたい、と思った。すっきりした。

我が家にはすでにコード式掃除機とコードレス掃除機があって、ここにルンバを買って3台の掃除機を持つのはさすがに多すぎでしょ、と常々おもっていた。思えばコードレス掃除機は飛び散る猫砂をサッと吸うために買ったのだったが、猫砂は意外に重くてサッと吸うことかなわず、後日100均で箒とチリトリを買ってそれで掃除してるんだ。わたしの買い物っていつもそんな感じだ。それを思い出せただけでも、今回レンタルしてよかった。

春になったら子にウォシュレットの使い方を教えてあげようとおもう

2022年2月6日(日)くもり時々雪

子が風邪をひいた。高熱でだるそうで、風呂には入れられず、顔だけ洗って寝かせた。こういうときウォシュレット使えたらなあ、と思った。子はまだ、ウォシュレットを使ったことがない。

ウォシュレット、わたしが初めて使ったのは小学二年生のときだった。実家がリフォームされて、それまで和式のボットン便所だったのが洋式の水洗便所になった。しかもトイレの数が二つに増えた。じいちゃんばあちゃんの寝室のそばに新しく作られたトイレに、ウォシュレットは付いていた。

使い方がわからなかったので、お尻を出して便器に腰かけ、トイレのドアを開けて、親に教えてもらった。たしかおとーさんだったと思う。「おしり」を押すと強くて細い水が出る、「ビデ」を押すと弱くて幅のある水が出る、「乾燥」を押すと風が吹いて尻を乾かしてくれる。おしりは水色、ビデはピンク、乾燥は黄色のボタンだった。尻はなかなか乾かなかった。水勢の強弱、水温や温風の高低を調節するツマミも教えてもらった。ウォシュレットのボタンで覚えた漢字もあるだろうと今おもった。

はじめて「おしり」の水を尻に受けたとき、勢いが強すぎてくすぐったくて、耐えられなかった。そののち妹4歳も「おしり」の洗礼をうけ、まだ小さかったから、くすぐったがりながらその水を背中まで受けて母親の仕事を増やしていた。わろた。

人が座っていないときにこのボタンを押したらどうなるんだろう、と試したこともある。けれどもわたしはめちゃくちゃ慎重なので、水勢のツマミを最低にしたうえで水勢の弱い「ビデ」を押した。伸びたノズルから水はおだやかな噴水のように湧き出でて、わたしはふーんと思った。妹を呼んできて、水勢のツマミをどこまで動かすと(あるいは「おしり」にすると)水が便器の外に飛び出すかのチキンレースもやった。そののち友人の家に行って、その家も新築でウォシュレット付きトイレを初めて導入したところだったが、二人でトイレにこもり、人が座っていないときにこのボタンを押したらどうなるんだろうをやった。このときは友人主導で、彼女はとくに慎重ではなかったから考えなしに「おしり」のボタンを押し、勢いよく出てきた水で床が水びたしになった。慌てたが、自らの尻で便座にふたをしようにも服を着ていてそれもままならず、床の水たまりは大きくなる一方だった。わろた。どうにかノズルを引っ込めて、トイレットペーパーで床を拭いている最中に彼女のお母さんがきて、あらあらまあまあ、と言った。彼女のお母さんはわたしたちが何かやらかしてもあらあらまあまあでさらにこちらの心配もしてくれて、今考えると心が広いな。わたしが帰ったあとに怒ったりしたんだろうか。

ウォシュレットネイティブのわが子が、今まで「おしり」「ビデ」といったボタンになんの疑問も持たず、ただただ流すためのボタンしか押してこなかったのは奇跡といえよう。娘は大丈夫だったけど息子がそうなのかどうかはわからない。これから。

会社の先輩と後輩と三人でよく飲みに行っていた時期があって、先輩が「おれウォシュレットにはうるさくて、出先ではトイレに寄って必ずウォシュレットを試す」と言っていた。わたしは公共施設のウォシュレットってあんまり使いたくないなと思っていたので、そしてそういう人が世の中大半だと勝手に思っていたので先輩の言動に感心した。ちゃんと使う人がいてよかったと思った。先輩のいる部署のトイレをリフォームするので意見を求められた際はウォシュレットにこだわって便器を選んで入れてもらったと言っていた。その先輩と後輩がめでたく結婚し、新居にお邪魔したとき、お手洗いをお借りして、ウォシュレットボタンを見た。よくある普通のウォシュレットだった。使い心地を試してみる気にはならなかった。

春になったら子にウォシュレットの使い方を教えてあげようとおもう。子は春に小学二年生になる。

無題

2022年1月29日(土)雪

義務教育の教室の中かっこいいというだけで盲目的に一方的にすきになった男の子への独りよがりな初恋を引きずるというか執着に近い形で年に一度くらい思い出してはサッと眺めてからまたしまいこんでいる。地元の友人たちが過去何度か彼の話題を持ち出したが、そのたびわたしは(その名前久しぶりに聞いた〜。へえ、今そんなことしてるんだ。すごいがんばってるんだね!)というリアクションを上手に返す。本当はどこで何をしているかすでに知っている。それが先日はわが親の口から彼の名が出たのでちょっとびびった。えらくなって、仕事の専門分野についてインタビューを受けて、その音声がネットに載っていたという。それは知らんかった。赤子が昼寝している隙にそのインタビューを視聴した。

はじめに、声、と思った。変声期を過ぎてからの彼の声を初めて聴いた。録音した自分の声を聴くような、なぜか気恥ずかしくなる体験だった。インタビューは二部構成で、前半は専門分野、後半はプライベートについてだった。しょうじき専門分野のことはよくわからんかったので早送りで聞き流し、おたのしみの後半部分に入ると、彼は「妻が」と言った。「子どもたちが」「上の子が」「下の子が」と言った。ヒュッと声が出る。思わず一時停止を押して、呼吸を整えてしまった。すてきな家族に囲まれて、仕事でも活躍していて本当に良かったな、と思った。

インタビューでは前後の切り替えのあいだに彼の好きな曲を一曲流した。どんな曲が好きなのか、また彼自身がどんなふうにその曲を紹介するのか興味深く聴いた。曲へのエピソードも、聴きどころもよくわかった。もしも自分が好きな曲を公に紹介するとして、こんなに堂々とした言葉にすることができるだろうか?、しばらくは折りにふれてこのことを思い出し、暇つぶしができそうだな、と思った。

まもなく聴き終わろうとする頃に赤子が昼寝から目覚めて、ミルクが欲しくてギャンギャン泣いた。あやしながら、ミルクを作って冷ましながらも、番組を最後まで聴いてしまおうと思った。それで聴き終わり、すごいものを聴いたぞと余韻に浸りながら冷ました哺乳瓶を持ち上げたとき、哺乳瓶の底が割れて、中のミルクがザーッと流れ出ていった。一瞬何が起こったのかわからなかった。赤子の泣き声が大きくなった気がした。我に返り慌ててストックの液体ミルクに切り替えてその場を凌いだものの、このタイミング、ぜったいになにかあるなと思った。

哺乳瓶は7年前に娘が産まれたときから使っているガラス製で、壊れるとしたら落として割っちゃったときだろうな、と思っていた。今の赤子も間もなく1歳で、もう少ししたら哺乳瓶を使わなくなるから、そうしたら処分しようとも思っていた。それなのにこんな時期にこんな壊れ方するなんて、このタイミング、ぜったいになにかあるな。しばらく彼のことを考えるのはやめようと思った。

 娘が産まれたときに産院の売店で買ったビーンスタークのガラス製哺乳瓶、娘のときはほぼこれ一本でミルクをあげていて、今回の授乳でも当然使おうと思っていたのに、消耗品のニプルを付け替えようとしたらどこにも売っていなくて焦った。調べたら今はガラス製哺乳瓶ではなくて樹脂素材の瓶が主流らしい。いい時代になった、軽いし壊れにくいもんね。それでニプルも形が変わって、以前のものはもう店頭では売っていなかった。だからオンラインストアで多めに注文した。

ビーンスタークのニプルは “ママの乳首は1種類。だからニプルも1サイズです。” の潔さが好きだった。今見たら販売を終了している。わが家にはまだ替えのニプルがあるが、ギリギリセーフだった。

はじめて髪を切る

2022年1月14日(金)晴れ 雪がそんなに積もってなくてよかった

10ヶ月の間いちども切らなかった長男の前髪を今しがた切ったった。

朝食後も大人しく椅子に座っているので「伸びてきちゃったね〜」と前髪をかきあげ、今なら切りやすそうだな…と思ったときにはもうハサミを取りにいってそのままひとおもいに切った。とりあえず髪の毛は残しておこうと思っていたので切り取った束のままきれいにティッシュの上においた。置かれた髪の束を見て思ったよりジャッキリいってしまったと動揺して、あらわになった赤のおでこを見てまた動揺した。衝動的に取り返しのつかないことをしてしまったことへの動揺がすごい。悪いことなにもしてないのに罪悪感があった。今はない。赤は視界がスッキリしたのかいつもよりゴキゲンのようだ。30分くらいしたら見慣れてきて、スキバサミでこなれ感を出してやりたいとかサイドの髪もなんとかしたいとか、欲が出てきたが、今日はここまでにする。おでこのてっぺんにある不揃いのハサミの段がついた短い前髪がかわいい。今日お風呂に入ったあとにどうなるか楽しみだし、ちょっと伸びてきた頃のことも楽しみ。切り取った前髪はティッシュに包んで封筒に入れて、とりあえずの棚にしまった。